こんにちは、ぽけるすです。
私は現役の小学校教師として働く傍ら、延べ、1000人以上の子供と接してきました。
その中で得たノウハウや知識を発信しています。
「認知能力」と「非認知的能力」という言葉をご存知でしょうか。
子どもの教育を考える上で非常に大切な2つの能力です。
特に幼児教育の分野で取り入れられている考え方です。
「質の高い幼児教育を子どもに与えたい」という思いは、どの保護者の方も持っていると思います。
ですが、「本当に質の高い幼児教育とは何か」ということは意外と知らないのではないでしょうか。
この記事では小学校教師として教育学を学んできた私が、エビデンスに基づいて、ある程度皆さんが納得する「答え」を提示できればと思います。
結論から言うと、「非認知的能力」を育てることが、幼児教育では特に大切になります。
【結論】「非認知的能力」が超大切
この、「認知的能力」と「非認知的能力」は、2000年代に、教育経済学でノーベル経済学賞を受賞したジェームス・ヘックマンの主張が基本となっています。
- 「1番コスパのいい教育投資は幼児教育である」⇒早期教育の肯定
- 「ただし、早期教育による「認知的能力(IQ)」の差は9〜10歳くらいでなくなる」
- 「『非認知的能力』が将来の収入や幸福度に強く関係していた」
- 「よって、投資するなら『非認知的能力』を育てる教育がいい」
この4点が大雑把な彼の主張になります。
この考えは、この記事を書いている2021年現在も、世界の幼児教育のスタンダードとなっており、日本の幼稚園教育について定めた『幼稚園教育要領』にもこの考えが端々に現れています。
ヘックマンの研究は、いくつかの有効と思われていたいくつかの教育を受けたグループを作り、そこから数十年にわたって追跡調査を行い「年収」「犯罪率」「幸福度」などを調査したものになります。
教育は結果が現れるまでに時間のかかる性質があるため(特に幼児教育や小学校教育の本来の有効性が示されるのは大人になってから)、どの教育理論も「眉唾モノ」の範疇を出られなかったのですが、この研究によって初めて、「大人になった時有効な教育は何か」が示されたのです。そう言う意味でこのヘックマンの研究はノーベル賞が与えられるほど素晴らしい研究だとされているわけです。
「認知的能力」
認知的能力はいわゆる「知能指数(IQ)」で測ることができる能力です。計算、論理的思考力、空間認知能力などが主になります。「勉強して身につくこと」というイメージでしょうか。
ヘックマンの研究では、早期の幼児教育によって、周囲の何もしていない子どもに比べてIQが高くなることが報告されています。
「非認知的能力」
それに対して、「非認知的能力」というものがあります。
これは、IQでは測れない力、「最後までやり抜く力」「主体性」「人間関係を築く力」「コミュニケーション力」などがあげられます。
これらの「非認知的能力」の有無が将来の「幸福度」「収入」といった要素に強く関係していた。というのがヘックマンの論文の結論となっています。
論文のまとめ
早期教育を2グループに与える
A:認知的能力(IQ)を高める教育
B:非認知的能力を高める教育
その後を追跡調査。
【結論1】AグループはBグループと比べてIQが伸びた。しかし、IQの差は9、10歳でなくなった。
【結論2】Bグループはその後、大人に至るまで「幸福度」「年収」などの値でAグループより優れている結果が出た。
【結論3】Bグループの力が伸びたのは、「協働する力」「コミュニケーション能力」「やり抜く力」「主体性」などの非認知的能力があるため、学校教育や生活の中で努力できたのではないか。
教育現場で活かされる「非認知的能力」
小学校で教えていると、この、「非認知的能力」の重要性を身をもって体感します。
「テストの点数は取れるのに、勉強は好きじゃない」
というパターンの子どもがとても多いのです。
子どもの多くは得意なことを好きになります。「サッカーをやっている子はサッカーが好き。」当然と言えば当然ですが。
そういった子どもはどこかでつまづき、追い越されていきます。
「ピアノを嫌いだけど続けている子」って聞くと、今後伸びていかなそうな気がしませんか?
勉強も同じです。「できるけど嫌い」「得意だけどやりたくない」はどこかで伸びなくなります。
学習に限らず、「あきらめずに取り組む」「目標を持つ」「協働する」こんな力がある子どもはどんなに苦手でも楽しみを見つけ、最終的には力が伸びていく。そんな風に感じています。
【まとめ】認知的能力の求められる時代に
現代は「高度情報化社会」と言われ、インターネットでちょっと調べれば、専門的な知識にあたることのできる便利な時代となりました。
こんな時代だからこそ、「多くの知識を”もっている”」つまりIQの高さより、「常に学習し続けることのできる力」を持っている人が重宝されるわけです。
数字で見えるIQの方が分かりやすく伸びるため、追いかけがちになってしまいますが、子どもをよーく観察して、「認知的能力」を育てられる大人になりたいものです。
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